ファブリー病がもたらす影響
心血管系、脳血管系、腎臓系の合併症は重篤な転帰をたどることがあります。
ファブリー病患者の平均寿命は一般的な寿命よりも大幅に短くなることが報告されており、1944~2002年の間にファブリー病としてフォローされた未治療の患者447例(男性279例、女性168例)を対象とした海外の後ろ向き研究では、死亡が確認された症例の死亡時平均年齢は男性で49.9歳、女性で52.6歳でした1。また、ファブリー病と確定診断された(もしくは疑いの)男性98例と、ファブリー病の家族歴を有する保因者の女性60例を対象としたイギリスのコホート研究では、累積生存期間中央値は男性で50歳、女性で70歳と、男性では20年、女性では15年短くなることが報告されています2,3。
ファブリー病患者の死因で最も多いのは、男女ともに心血管系合併症です4。Fabry Registryに登録されたデータによると、以下の3つが死因の上位を占めています4。
- 心血管系合併症(男性患者の53.6%、女性患者の50.0%)
- 脳血管系合併症(男性患者の12.5%)
- 腎不全(男性患者の10.7%)
次に、これらの主な死因を合併症別に取り上げ、ファブリー病が特定の臓器に及ぼす影響と疾患進行について詳しく説明します。